脊髄刺激療法とは
神経ブロック療法や薬物療法では、なかなか痛みが緩和しない頑固な痛みに対して行う治療です。ペースメーカーは誰しも知っている医療機器だと思いますが、同じような機械を背骨の中に留置する治療です。ペースメーカーは心臓にリード(細い電線)を留置し電気刺激を行うことで心臓を動かします。脊髄刺激療法は背骨の中にリードを留置することで脊髄を刺激します。脊髄を刺激すると、刺激する場所により腕や足などにビリビリした感覚があります。以前は「痛いの痛いの飛んでいけ~」と同様に痛い所に別の刺激をする事で痛みが緩和すると考えられていました。しかし、最近では特殊な刺激方法を用いることで、ビリビリした感覚がわからない強さで刺激をしても痛みが緩和することがわかってきており、別の機序で痛みが緩和されているということが研究されてきています。
治療方法
この治療法は、基本的にペースメーカーのように体内に植え込むことを前提とした治療です。しかし、必ず効果が得られるという治療ではないため、①まずは痛みが軽減するかお試しをする、②効果があることがわかれば植え込みをする、という2段階で行っていきます。
①痛みが軽減するかお試しをする(トライアル)
レントゲンを確認しながら背中から針を刺入し、硬膜外腔(背骨の中)という部分に針先が到達したら、リードを硬膜外腔へ挿入していきます。リードの位置もレントゲンで確認し、試しに電気刺激を行ってみます。痛みがある部分に、ビリビリとした刺激感がくることを確認できたら、リードのみ留置し、針は抜去してきます。リードは抜けないように糸で固定し、刺激装置も身体のどこかにテープで固定させてもらいます。この状態で、7-10日間刺激を行い、効果が得られるのか確認を行います。効果の判定ができたら、リードは抜去し退院となります。
②効果があることがわかれば植え込みをする(本植え込み)
リードは同様に硬膜外腔へ留置します。さらに、刺激を行う装置を臀部や腹部などに植込みます。これらをつなげるために、リードは皮下を通して接続します。本植え込みでは、リードを挿入する部分(背中の真ん中あたり)と刺激装置を植え込む部分に皮膚切開をする必要がありますので、1週間ほどしてから抜糸も行います。