代表的な顔面痛
三叉神経痛、顎関節症、非定型顔面痛(原因がはっきりしない痛み)、鼻などの術後の痛み
典型的三叉神経痛
三叉神経が血管により圧迫を受けることで、特徴的な神経痛を引き起こします。
症状
- 典型的な症状
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- 片側の顔面に、数分程度の激痛
- 電気ショックのような痛み
- 食事、歯磨き、会話などで誘発される
- 紛らわしい症状
- 食事などで痛くなるので虫歯と勘違いされやすいです。
治療
- 薬物療法
- カルバマゼピンというお薬がよく効きます。しかし、アレルギーやふらつきなどの副作用を起こす頻度が比較的多いため注意が必要です。ガルバマゼピンが副作用で飲めない場合には、ガバペンチン、プレガバリンなどを使うこともあります
- 神経ブロック療法
- 痛みの原因となっている神経に対して、局所麻酔薬を使って神経ブロックを行います。それでは効果が弱い場合には、原因となっている神経の周辺まで針をすすめ、麻酔を行ってから70-90度程度の熱で神経を破壊していきます(高周波熱凝固法)。神経を破壊することで痛みは消失しますが、その代わりに痺れが残ってしまいます。しかし、重症な三叉神経痛の場合には食事ができなくらい痛いため、このリスクがあっても非常に有用な治療であり、患者さんも満足されます。神経を破壊するとはいえ、いずれは修復されてくるのですが、そうすると痛みが再び出てくることがあります。1年~数年程度で痺れや感覚が戻ってきます。
- ガンマナイフ治療
- 三叉神経に放射線をあてるという放射線治療です。それにより痛みが緩和するのですが、放射線をあててから、痛みが軽減してくるまでに数ヶ月程度かかる場合もあり、効果はゆっくり出てきます。また、しびれなどが出る場合があります。治療を行うには専門施設を受診していただく必要があります。
- 手術
- 三叉神経を圧迫している血管を少し離してあげることで、神経への圧迫をとる手術です。痛みが典型的であり、画像で血管の圧迫が明らかである場合には、再発率も低く、神経ブロック療法やガンマナイフ治療のようにしびれたりすることもないため、非常に良い治療です。しかし、全身状態が悪い場合や、ご高齢の方では全身麻酔や手術のリスクもあるため、慎重に検討しなければなりません。また、経過が長い方や手術後の再発となると、手術を行っても痛みが残る場合もあるため、一度脳神経外科の先生と相談していただくのが良いと思います。
三叉神経痛の患者さんへ
- 知ってもらいたいこと
- 三叉神経痛はいろいろな治療法があり、いくつかの診療科が関わります。年齢や症状の強さ、経過の長さなどから、どの治療が最適なのかを検討する必要があります。
- 当院での治療
- 当院ではまず薬物療法から開始します。画像や痛みの経過などから手術がよい適応と判断した場合には、専門機関に紹介させてもらいます。ご高齢の方、早く痛みを取らないと食事が取れない方などに対しては、神経ブロック療法や、高周波熱凝固法を行うことができます。痛みで食事や歯磨きができないような方は、ぜひ早めにご相談ください。
- その他、三叉神経痛を起こす病気
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